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「あっちに行け。お前なんかに話すことない。」
補導で特に多いのは、喫煙、飲酒、深夜徘徊、不健全性的行為。始まりは小さな不安や不満を他人にぶつけることや、その場の勢いにのまれて始めたこと。それが日常になってしまいます。様々な角度で少年や保護者と向き合い、少年の居場所づくりに取り組む、少年警察補導員神田恵理さん(24歳)にお話を伺います。
 神田さんよろしくお願いいたします。まずは補導員の仕事に就いて、驚いたことはありますか?
補導活動で取り扱いの多いのは、喫煙、飲酒、深夜徘徊、不健全性的行為です。少年に話を聞いていくと、その行為に及んだ原因をなんとか解決したいのに、自分ではどうしようもないと困っている少年や母親の多さに驚いています。第三者の介入が必要な親子が多いように思います。家庭に居場所を感じない子どもたちも多いので、北海道警察では平成16年から少年の居場所づくりとしてのサッカー教室やお料理教室、ボランティア体験、公園の落書き消し体験などの事業もしています。気が付かれたと思いますが、ここ少年サポートセンターは警察本部とは別の建物で民間ビルの中にあります。少年たちも保護者の方も来やすいように配慮しているのです。
 確かに、警察署に行くとなると気構えてしまいますけど、このセンターはオフィスビルの中なので来やすいですね。日々の仕事はどんな内容ですか。
一番の仕事は街頭補導活動ですが、カラオケボックスや公園での取り扱いが多いです。朝は前日までに補導した少年の、朝しか連絡の取れない家庭の保護者に電話連絡し補導した少年のその後の様子を聞いたり心配があれば電話で相談にのることもあります。保護者連絡をするのは再非行防止のための指導と保護者への協力依頼のためです。
  街での声かけには、どんな反応がありますか?想像すると大変そうですよね。
素直に話しを聞きいれてくれませんし返事もなかなかないです。「あっちに行け。お前なんかに話すことない。関係ないべや。うざいんだよ。死ね」と少年から言われる時もあります。みんな補導なんてされたくないですし、少年警察補導員に話を聞いてもらいたいとは思っていないですから、対応は難しいと感じています。学生時代に学んだ心理学では、悩みを打ち明ける人がいるという前提で、それを聞きながらどう対応するかがポイントでしたが、少年警察補導員になった今は、話しをする気がない人と話をして関係を作っていかなくてはならないので、現場の厳しさを実感しています。関係を作るためには、頭ごなしに「タバコは駄目だよっ」と言うのではなく、「なんでタバコを吸ってるの、なぜ吸わずにいられないの」と、喫煙する背景をさぐっていくようにしています。
少年警察補導員になりたてのころは声かけもためらいがありましたが、今では声をかけたことが、タバコを辞めるきっかけになったり、親と話をする機会になったりすればいいなと思っています。
 神田さんが少年警察補導員を志したきっかけは何だったのですか
たまたま大学院の先生から、北海道警察の少年警察補導員試験を受けてみてはどうかと勧められたからなのです。
今、思い返すと、とっても恵まれているのですが、高校生のときに親が「大学に行ってもいいよ。4年間好きな事やりなさい。」と言ってくれたので、教育大学を受験しました。でも、特に教師になりたいと考えていたわけでもなかったのです。たまたま専攻した心理学がとっても面白くて、心理学を学んで、悩みを抱えている人を助ける仕事がしたいと思うようになったのです。大学院に進んで、更に2年学び、就職をどうしようと考えていたときに先生から勧めがあったのです。
 心理学のどんなところに面白みを感じたのですか。
いろいろありますが、特にカウンセリングです。1人で悩んでいてもなかなか解決法や悩みを解消する具体策が見つからないのに、悩みをカウンセラーに説明したり質問に答えたりしているうちに、この先どうしたらいいか自分で見つけることができるのです。これが面白いと思って突き進み、大学院までいってしまいました。
打ち込めるものに大学で出会うことができたのですね。高校時代はどんな生徒さんだったのですか?
人見知りで目立つのが好きではなく、友達も多くはなかったですね。バスケ部に入っていて、センターをやっていました。私はそこで、自分が必要とされる喜びや責任を経験しました。弱いチームだったのですが、このときに経験したことが、人との関わり方について一番学んだことだと思います。
大学生、大学院生のときの話ですが、6年間一人暮らしをしました。その間アルバイトで焼肉屋さんやスパゲティ屋さんで働きました。様々な年代のいろいろな生き方をしている人と出会えたのです。全く知らない土地で6年間、ゼロからスタートして人間関係を築けたことが自分の糧になっています。学生時代に築いた人間関係はいまもずっと続いていますし、宝ものですね。
 これからの目標や目指していることなどはありますか?
先輩達を見ていると、電話だけで状況を、瞬時に理解して、子どもと親の間の調整をしているのです。すごいといつも感じています。そして先輩それぞれに信頼関係の作り方があるのです。
誰かのようになりたいとか、こんな風に仕事ができるようになりたいとか、まだ形にはなっていませんが、叱るときには厳しく、時にはお姉さん的な存在になれるように、先輩の方々から学びとっていきたいと思っています。
 神田さん、応援しています。最後に神田さんからメッセージをお願いします。
今の時代は、子どもも大人も忙しいですよね、顔を合わせる時間も少なくなっていると思います。だからこそもっとお父さんやお母さんと話をして欲しいなと思います。会話が大切です。
少年サポートセンターは力になる機関です。だからもし、友人や大人、親との間の悩みを誰も聞いてくれない、相談できないようなとき、苦しいときにはぜひ相談してください。少年相談110番(0120-677-110)に電話をしてくださいね。
【編集後記】
少年少女をとりまく悲惨なニュースが続く日々。まるで、人は悩みを誰にも見せない、友人ともなるべく深く知り合わないようになってしまったかのように見える。少年警察補導員として神田さんは少年少女たちを助けるために、助けて欲しいと言い出せない人を見つけるために街を歩き、声かけをしているのだと気が付きました。神田さんの相手を理解して、力になりたいという気持ちが伝わってきました。(あきたん) |
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