刑事部捜査第二課特捜第七係














巡査部長 水留成さん
「犯人をつかまえてなんぼ!」
ついこの間まではオレオレ詐欺の捜査、選挙違反の取り締まり。身近な知能犯犯罪から企業内で起こる経済犯罪までを担当している特捜係主任、巡査部長の水留成さんにお話を伺います。 水留巡査部長、よろしくお願い致します。

yumetan_s
水留巡査部長の現在の仕事内容を教えて下さい
公職に就いている人たちが法律違反をしていないかどうか捜査したり、詐欺や横領などの被害に会った会社での捜査をしたりしています。具体的なお話は控えさせていただきますが、2年前にはオレオレ詐欺を捜査していました。大きな詐欺グループが札幌から、東京などの首都圏に電話をかけて詐欺を働いていました。オレオレ詐欺はたいてい携帯電話を使用します。ほかに必要なものは銀行口座、通帳くらいで、それぞれ違法に取得したものが使われているので、手掛かりがとても少ないのです。そんな中、情報を収集して札幌のアジトを突き止め現場を押さえて、逮捕したときは達成感が有りましたね。これで、被害者の方々の思いに応えることができる、と嬉しかったですね。

yumetan_s
悪い事をする奴は捕まえるぞという燃える使命感をびしびし感じますが、もともと警察官志望だったのですか?
警察志望ではなかったですね。高校生のころは航海士に憧れていて、大学も北大水産学部に進学したのです。しかし、航海士の求人は滅多にないわけで、海上自衛隊も考えましたが全国転勤があるので志望につながらなかったのです。北海道から出たくなかったので、道外に転勤のない道警を志望しました。自分に向いているものをもう一度探していこうと思いましたね。 実際採用が決まって、警察学校に入るまでの準備段階で制服合わせをしているうちに、「警察官になるんだ」というボルテージはどんどん上がっていきましたよ。

yumetan_s
現職に就かれるまではどのような部署を経験されてきたのですか?
まず、札幌方面南警察署の地域交番で2年。その後、人事交流として千葉県警に採用され、機動隊員として訓練の毎日でした。当時、成田空港をテロやゲリラから守るための大きなプロジェクトが動いていました。機動隊には2年間在籍しその後、札幌方面中央警察署のすすきの交番に配属になりました。すすきの交番は繁華街のど真ん中、事件の多い地域にあります。そのとき、テレビ番組の警察24時に出たこともあります。一番勉強になった1年半でした。その後、刑事二課の知能犯係として詐欺や横領など企業の中で起こる犯罪捜査を担当し、平成17年に現職の警察本部捜査二課に配置になりました。

yumetan_s
いままでの仕事の中で、印象的な出来事はどんなことがありましたか?
新任の交番勤務のとき、110番通報で「幼稚園のなかに泥棒が侵入しているようだ」と言う連絡が夜中に入ってきました。私をふくめた警察官4人が駆けつけ、懐中電灯を持って捜索すると、ガシャーンと窓ガラスの割れる音がして、犯人がどうやら外へ逃げようとしているのです。素早く先回りをして挟み撃ちをするように犯人を捕まえました。  やはり、住みよい町にするためには、悪い事をする人を捕まえてなんぼだと思うのです。「犯罪は発生する。犯人を捕まえて、悪い事をしたら捕まるということをわかってもらうんだ」と当時、思いました。

yumetan_s
業務のなかで自然に使命感と責任感が大きくなっていったのですね。 警察官になってから考えや見方が変わったことはありますか?
北海道にこだわっていた自分は小さかったなぁと思いましたね。千葉県警機動隊には全国から人が集まって同じ任務についていましたから、育った地域や環境がまったく違う人たちと仕事や生活を共にすることで仲間意識を育み、世界が広がりました。機動隊時代に得た仲間は今でも財産です。さらに、オレオレ詐欺では、首都圏でお金が引き出されるケースが多かったので、警視庁へ派遣され、首都圏の警察と北海道警察で連携した捜査が行われました。捜査手法など、他県から学ぶことも数多くありました。

yumetan_s
他にも仕事を通して身に付いたことってありますか?
たくさんありますよ。まずは日常的な知識の吸収意欲がつきますね。犯罪ではどんどん新しい手法が生まれます。犯罪の手口を学びますね。ネットオークション詐欺の、仕組みを理解するために実際にネットオークションに挑戦してみたり、最近は年金問題が取りざたされているのに便乗して、社会保険庁の職員と偽って電話をかけるという手口も出ていますので、年金制度について知識も付けていかなくてはなりません。日々勉強ですね。もともと簿記なんてやったことありませんでしたが、捜査で必要なら会社の帳簿を見ながら、調べたり分かる人に問い合わせたりして取り組みます。  また、情報は待っていても集まりませんから、自分から動くようになります。情報をもらえる、協力してもらえるような人間関係、信頼関係つくりがだんだんと身に付いていきます。

yumetan_s
仕事自体が常に勉強なのですね。気を付けていることや、大切にしていることはありますか。
家族や、学生時代からの仲間との信頼関係を大切にしています。やはり、ハードな仕事ですからストレスもたまります。そんなとき、家族や仲間の支えはすごく大きいのですが、仕事に関しては、やはり、話せる事と話せないことがあります。うやむやにするより自分に正直に、話せること話せないことを明確にして、分かり合う努力をしています。うそつきはドロボーの始まりですからね。 家族との時間は大切ですから、休日はなるべくたくさん子どもと一緒に過ごし、遊ぶようにしています。

yumetan_s
最後に、読者にメッセージをいただけますか?
なんでも、興味があればどんどんアクションを起こして欲しいですね。「やってみたいなぁ、気になるなぁ」と思っているだけで行動を起こさなければなにも得られませんからね。そして、警察に興味をもっている方へのメッセージとしては、やる気と根性さえあれば警察官は勤まりますよ。すごく寒くて震えながら張り込みすることもありますけど、捕まえるぞと思えば耐えられます。 知識は、仕事のなかでいくらでも身に付けられますよ。僕は簿記の資格をもっていません。それでもいろいろな企業の難しい帳簿の捜査もします。仕事に有利となる、必要と思われる勉強や、資格取得をさせてくれる制度も警察にはあります。自分に出来るか出来ないかをあれこれ考えるより、まずやってみることです。警察の仕事はやりがいのある仕事ですよ。

yumetan_s
水留巡査部長、メッセージありがとうございました。

【編集後記】
 水留巡査部長はとても熱心な方で、取材時間を無駄にしないよう、ぎりぎりいっぱい仕事観を話して下さいました。ところで、水留巡査部長の警察ドラマ評価は、「『踊る大捜査線』は警察組織の関係が分かりやすく出来ていて、『アンフェア』は事件の謎ときが難しく個人的に好きなドラマですね」と教えてくれました。(あきたん)