総務部警察相談課相談第二統括官














警部 河部司さん
「もっと周りの人とかかわろう、面とむかって話そう、相手を知ろう。」
泥棒に入られたとき、交通事故に遭ったとき、「お巡りさんすぐ来てください」というときに通報するのが110番ですね。それ以外にも様々な相談が警察に寄せられます。相談の大きな窓口になっている警察相談課の河部統括官(57歳)にお話を伺います。

yumetan_s
河部統括官よろしくお願いいたします! それでは最初に、河部統括官の仕事内容を教えて下さい。
私が勤務している警察相談課というのは、警察に寄せられる相談等を最初に受けるところです。電話、メール、FAX、はがき、手紙などや直接訪問された方から話を聞き、適切なアドバイスや指導等をしたり、相談内容によっては、どの部署で担当するのがよいのかを判断して、引き継いだりしています。また、道内のあらゆる部署で受理した相談内容がわかるシステムになっており、相談も種類別に分けてデータとして残しています。  私の主な仕事は受理した相談に対して適切な対応や対処がなされているかということを確認したり、各部署との連絡や調整等を行っています。

yumetan_s
相談にはどのようなものがあるのですか?
警察に対する意見要望や苦情もありますし、ヤミ金融からの取り立ての電話が職場や自宅にきたりして困っているとか、セクハラやストーカーに遭っているとか、犬にかまれたとか、隣の家との境界線でもめている等様々なものがあります。中には警察で対処できない相談もありますが、出来るかぎりの対応や担当機関を提示する等しています。  一番多いのは悪質商法等の相談ですね。違法な取り立てや、高金利、振り込め詐欺に遭ったようだなど、いろいろあります。最近、印象に残っているのは、社会保険庁を名乗り「あなたの医療費が過払いになっているので○○へ電話を下さい」というハガキがきて、電話をすると「銀行へ通帳と印鑑を持って行き、ATMの前から○○番に電話して下さい」と音声ガイダンスが流れ、それに従ってATMの前から電話をするとATMパネルの操作説明が流れ、指示通りに番号を押して行くと……実は過払いのお金を返してもらう手続きのはずが、詐欺の相手にお金を振り込んでいた。という還付金等詐欺の相談です。

yumetan_s
時間がたって詐欺にあったと気がつく相談や、どこに相談していいのか困って連絡が来る場合などいろいろあるのですね。一日どれくらいの相談があるのですか。
警察本部の相談センターだけで一日40件から60件くらいあります。でも、警察に相談しないうちに解決したとか、もう時間がたっているからいまさら警察に相談しなくてもいいやとか、泣き寝入りだって考えられますよね。実際に犯罪にかかわる相談が1件あったら潜在的にはその何十倍もの被害者がいるのではないかと思います。 様々な相談が捜査の手掛かりになることが沢山あります。読者のみなさんも困った時は#9110へお電話ください。

yumetan_s
ところで、河部警部はいつごろ警察官になりたいと具体的に考えられたのですか?
警察を志望したのは前職の会社に不安を感じたからなんですよ。学校を卒業して就職した繊維会社に勤めて2年目にオイルショックがあり夏のボーナスがカットされました。冬もボーナスが出るかどうかわからないと言われ、これは給料が安定している公務員になったほうがいいぞと考えたのです。叔父が警察官で、小さいころからいろいろな事件の解決話を聞かされて育ったので、その影響もありますね。実は従兄3人ともみんな警察官になりました。

yumetan_s
警察官になってからどのような仕事を担当されてきたのですか?
警察官になって30年なので、長くなりますよ。苫小牧警察署の地域課で交番勤務についた後、同署の留置場の勤務、防犯課で風俗営業や銃砲等の許可業務や麻薬、覚せい剤、密輸の取り締まりに従事しました。その後、防犯特捜に配属になり、繁華街の売春や賭博の取り締まりに当たりました。次に、斜里警察署でサケやヤマベの密漁取り締まり、旭川・北見では暴力団対策に従事し、次いで稚内・旭川で少年や防犯対策等と、広い地域で生活安全や刑事の経験を積みました。もう警察官人生30年です。毎年、仕事に対する自分の希望を提出するのですが、今までの経験を活かせる現在の警察相談課を希望しました。

yumetan_s
30年の仕事人生を振り返ってみて、どんな思いがありますか?
「毎日、毎日、必死に30年間走り続けてきた」、そんな感じがします。どんな時に喜びを感じるかと言うと、どんな仕事でも同じでしょうが、仕事を通じて「ありがとう」と感謝されたときですね。警察って大きな組織ですから組織の中のことや仕事を真に理解するには相当の年月がかかります。30年仕事をしてきてようやく少しわかってきたので、これからは外部にいる人たちに警察の仕事が正しく理解されるには、どうやっていくのかを考えていかなくてはならないなと思っています。

yumetan_s
警察官になってからほかに何か気付いたことはありますか?
そうですね、警察官になりたてのころは、新聞やテレビでの報道では伝えられていないことがたくさんあり、報道や見えていないところで、それぞれのプロが支えているのを知って驚きましたね。 現在強く感じているのは、当事者同士で解決しようという意欲が低下して、誰かになんとかしてもらおうという人が増えているなということです。家族でなんとか解決しょう、地域でなんとかしようという行動が減っているのですね。面倒なことは誰かになんとかしてもらいたいということのようです。  更に、人間関係が希薄になって、面と向かって話すことが苦手になってきている一方で、メールを簡単に信じてしまったりする。「インターネットのオークションで、1位の人が辞退しましたので、2位のあなたに権利があります。お金を振り込んで下さい」とか「あなたに1千万円が当りましました。手続きをしますので、保証金として○○万円を振り込んでください」というメールを信じてしまう。誰かに話をして、「ちょっと怪しくない?」という意見があったら防げた可能性もあり、普段の人間関係は大切ですね。

yumetan_s
身を守る手段としても人間関係があるのですね。 最後に河部警部から、読者の方へメッセージをお願いします。
自分の一生をどう生きるのか、ぜひ深く考えてほしいですね。人はひとりでは生きていけません。周りの人から支えられ生かされていると考えるのが自然です。その中のひとりとして自分は周りの人を支えるというお手伝いをして欲しいと思います。  私は57歳です。先のことを考えるにも時間がそんなにはありません。人生の振り返りの方が多いですね。皆さんにとってこれからの人生は長く、限りない可能性があります。大切なことは、物やお金等を手に入れることだけではなくて、人とのかかわり合いのなかで自分はどんな生き方をしていけばいいのかをぜひ考えて欲しいと思っています。

yumetan_s
はい、近い将来のことばかり考えず、死ぬまでの人生をどう生きるか、を考えてみます。 警察官人生30年の重みのあるお話をいただき、とても勉強になりました。ありがとうございました。

【編集後記】
 河部警部が中学生のころは、ベトナム戦争の最中で、友人や先生達と戦争や正義についてもよく議論したし、将来の夢、やってみたい事を束縛としがらみのない中で自由に話をしたそうです。「当時は思ってなかったけど、いま振り返るとあれが青春だったなぁと思う」と言う河部警部の笑顔は、今の子ども達が新しい時代のなかで、一生懸命生きていくことを応援してくれている笑顔でした。(あきたん)