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「無線を聞いて、たくさんの人が動く」
「大変だ。ひき逃げだ」そんなときにかける電話は110番、でもこの電話どこにつながるのでしょう?実は道内を5方面に分けた地域のうちの通信指令課に110番通報はつながるのです。札幌を中心に滝川、室蘭あたりまでの地域の通報を受ける通信指令課の巡査長高森靖子さん(26歳)にお話を伺います。
 高森巡査長、よろしくお願いいたします。道警本部の通信指令課には、一日どれくらいの110番通報が入るのですか。
時期によっても違うのですが、最近ですと一日に900件前後の110番通報が入ります。これらを常時7、8人の電話係が受ける傍ら、5、6人の無線係が関係する警察署と警察官に向けて指令を出しています。4月までは交番勤務で無線を聞く側だったので、電話を受けた人が、内容を聞き取り終わってから無線を発信しているのだと思っていたのですが、実際は事案を迅速に処理するために110番通報の聞き手だけでなく無線のかけ手も同じ通報を聞いて無線を発信していると知り、驚きました。
 110番通報がそんなに多いとは思いませんでした。高森さんは、いつもどんなことに気をつけて仕事にあたっているのですか
私は女性なので、110番通報を受ける役割が多いのですが、110番通報される女性の方は、特にあわてていることが多いのです。「今、警察官が向かっていますから安心してくださいね」とまず落ち着いてもらい、その後、被害状況、時間、場所、犯人の特長、服装、逃げた方向など現場の警察官が必要な情報を聞き出しながらメモしていきます。それを無線係がうまく組み立てて、現場の警察官へ無線を入れていくので、チームワークが重要です。すべてが連携プレーで、110番通報してくださった方の情報が何より重要な手掛かりです。デリケートな事件になってくると、電話の応対が悪いために話してもらえない状況になってしまうことも想定できます。まず私が冷静でいること、声かけも慎重に言葉を選ぶこと、短時間で聞き出すことを心がけています。
 想像力と気遣いと状況判断などかなり高度な電話応対ですね。
新しい仕事にまい進する高森さんですが、高校のころから今までの経緯をぜひきかせて下さい。
そうですね、高校生のころは陸上部にいて、砲丸投げ、円盤投げ、ハンマー投げの選手でした。体育の先生が熱心な方で「ぜひ投てきをやってみないか」と熱烈な勧誘を受けて入部したのですが、けっこう面白くて部活一色の高校生活でした。部活のお休みは月曜のみで、それ以外の平日、土日、祝日全部練習があったんですよ。また、本が好きで図書館司書になりたくて大学に進みましたが、なかなか狭き門なのです。私の祖父が元警察官で、「お巡りさんはいいよ、ぜひなったらいい」と薦められ道警採用試験を受けたのです。道警に採用後は札幌南警察署管轄の交番3か所で延べ3年3か月交番勤務を経験しました。そしてこの春、現職に配属になりました。
  いろんなアドバイスをとりいれ、チャレンジして、今の高森さんがいらっしゃるのですね。交番勤務時代の印象的な出来事はありますか。
先輩の女性警察官と交番勤務についている時のことですが、小学生の女の子が見知らぬ男に追いかけられたということで、お母さんと一緒に交番へ来たのです。いろいろと話を聞いていたのですが、たまたま先輩がその場を離れたときに女の子が急に泣き出してし、最初はびっくりしてどうしようかと思いましたが、よく聞くとその女の子は「背の高い女のお巡りさんで安心した」と泣きながら言うのです。きっとずうっと怖くて気を張っていたのでしょう。安心したら泣けてきてしまったようなのです。私は身長が176センチあり、そのことにコンプレックスを覚えたこともありました。でも、その私が警察官になることで、人を安心させてあげられるんだ、警察官になって役立っているんだ、と思った出来事でした。
 そんな交番時代の経験がいまの通信指令課の仕事にもつながっているのですね。
通信指令課の仕事の魅力はどんなところにありますか。
情報を警察署、交番に伝達することで、一斉にたくさんの人員が動きます。いかに的確に無駄なく効率よく捜査してもらえるように情報を伝えるか、無線指令を出すか。ここに魅力を感じます。事件解決の最初の窓口にもなることがある通信指令課に配属していただけたことを、心から嬉しく思っています。
現場の方々とも無線を通じてつながっていることも実感します。以前勤務していた交番から「あの無線いまいちだよ、失敗だな」なんて言われることもあります。早くお褒めの言葉をいただけるよう頑張ります。
 この先の目標や挑戦したいことはありますか?
仕事では今以上にプロになりたいです。知識と実践を強化して向上心を忘れずに突き進んでいきたいですね。
後輩にいろいろと仕事のことを伝えていけるような人になりたいと思っています。
今は仕事中心の生活ですが、プライベートではほっとできる落ち着ける時間と場所を作りたいと思っています。あとは、体力をつけること、体つくりですね。そして精神的にも強くなりたいと思います。
 読者へメッセージをお願いします。
そうですね、警察官を目指している方への参考として、私の経験からいうと、警察官として必要な礼儀作法は警察に入ってからでも身につけることができます。それよりも、社会常識とはどんなものか、言葉遣いや心がけ、道徳とはどういうものか、これらについてもっともっと学生時代に勉強しておく、身につけておくとよいと思います。
あと、どんな仕事にも言えるのが、「自分がここに存在しているのはたくさんの人の支えがあってこそ。あたりまえのように思ってはいけない、支えてくれる人達に感謝することを忘れないでいよう」ということです。これは私のポリシーでもあります。
 そんなポリシーの上に高森巡査長の生き方があるのですね。貴重なお話を聞かせていただき、どうもありがとうございました。
【編集後記】
通信指令課では電話対応の人も、無線で指令を出す人も、片耳のイヤホンで内容を聞き、もう一方の耳でスタッフ同士のコミュニケーションをとりながら仕事をしていました。メモを取り、画面や地図を確認しながらの仕事で、見る、聞く、話す、書く、を同時に行っている。コミュニケーションの一番大切な部分をフル稼働するには、体と心も元気でなくてはならないのだなと感じました。(あきたん) |
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