中学生からの質問

 先日職業講話を実施した日章中学校の生徒の皆さんから感想カードを担当のS先生が事務局までわざわざ届けてくれました。
 みんなびっしり感想を書いてくれて、とても嬉しかったです。なかには感想カードに質問を書いてくれた生徒も2名いました!さっそく返事を書いてみましたので、一部紹介します。

『日章中学 2年○組 A君へ

S先生から、日章中のみんなが書いてくれた感想カードを受取りました。一つ一つ読んでいたらA君の感想カードに質問がありました。
A君、感想カードに質問を書いてくれてありがとう!とても嬉しいです。

A君の質問は『小説家になるために、今たくさん本を読んで知識をたくわえています。この取組みはどうでしょうか?』ということですね。
A君は小説家になりたいのですね。どんなきっかけ(理由)で小説家になりたいと思ったのですか?今度ぜひ聞かせてくださいね。

たくさんの本を読んでいるということですが、どんな本が好きですか?
また、好きな作家はいますか?
それから、どんな小説を書いてみたいですか?
そして、小説は書いていますか?

先日も皆さんにお話しましたが、どんな仕事でも最初からやりたいことができるという仕事は、ほとんどありません。でも小説家は小説を書かないと小説家とは認められません(その小説が売れるかどうかは別です)。
村上龍という小説家が言っています。「小説家になるためには、小説を書けば小説家になれる」と。

(ここからは僕の想像ですが)A君は、小説家になれるかどうか、とても不安なんだろうと思います。
だから、たくさんの本を読んで、知識をたくわえているんだと思います。

僕はそれでいいと思いますよ。A君は目標に向かって頑張っているんですね!
今の僕ができるアドバイスは3つです。

1つ目は、「うさぎとカメ」の話しを思い出して、その目標に向かって頑張ってください。今までどおりたくさんの本を読むということは、続けてくださいね。そのゴールは、もしかすると20歳くらいのゴールかもしれませんし、30歳くらいになるかもしれません。
浅田次郎という人気作家がいますよね。彼は三島由紀夫に影響され自衛隊に入隊。その後も様々な職につきながら小説を書いては投稿するという生活を続けて、40歳の時にようやく小説家としてデビューすることができました。その後の活躍はA君も知っていますよね。
きっと浅田次郎もゴールだけを見てきたカメなんだろうなぁと思います。

 2つ目は、本を読むだけでなく。A君の目の前にあることを一生懸命に取組んで欲しいということです。
自分の目標を達成するためには、時には浅田次郎のように「小説を書くために、生活をする」。つまり働くことも必要になるかもしれません。また、イキイキとした小説を書くためには、経験してきたことが必ず役に立つんだろうと思います。セリフ一つにしても身近な人との会話の経験がなければ、どう表現したら主人公の気持ちをあらわせられるのか、わからならいでしょう?小説家としての勉強は、A君の毎日の生活の中にたくさんあるはずです。それは自分が一生懸命やってこそ、色々な気持ちが分かるのではないでしょうか?オリンピックで入賞した選手や惨敗した選手が涙を流すシーンってありますよね。その気持ちを小説で表すとしたら、自分も一生懸命にやった体験をベースに考えないときっとうまく表現できないと思いませんか?
 
 3つ目は、失敗を恐れず、小説を書いてみましょう!(もう書いてあるかも知れませんね)
そして最後まで書き上げてみましょう!出来なんか気にしないでOKです。いまの実力で書いてみましょう。
実際に小説を書いてみることで、自分の夢を実現するために、自分に不足していることが、具体的に分かります。この点は、他の仕事を志す人と違う点です。今すぐ経験できるということが小説家のすごいところです。
 「もっと国語を勉強しなきゃダメだなぁ」とか「もっと色々経験しなきゃ」ということを感じてくれたら、それは素晴らしい経験になります。もしかすると、何を書いたら良いのかテーマが決まらないかもしれません。
書いてみたいというテーマが無ければ、いまの気持ちを書いてみてもいいのかもしれませんね。A君と同じように小説家になりたいと思う中学生や小学生を対象に書いてみると、夢や不安など共感できる小説が書けるかもしれません。(僕はそんな小説を読んでみたいなぁ)
 もしかすると、小説を書いてみると小説家になることが嫌になるかもしれません。ひょっとすると、小説を書くことより、大好きな本を紹介したり、編集したりする仕事の方に興味があったってことを発見できるかもしれません。
 「失敗おめでとう」の精神でチャレンジしてみてください。』

※「うさぎとカメ」の話しは、「うさぎはカメを見ていたから、競争に負けた。カメはゴールだけを見て、自分のできることを一生懸命にやっていたからうさぎに勝てた」という話しを紹介したものです。